マイル・チケット

航空運賃を正しく理解し安く乗る方法【週刊誌の記事を見て】

記事見たけど、もっと安くお得に乗れる方法あります。

女性週刊誌を読む事はまず無いのですが、スマートフォンのニュースアプリは頻繁に見ていると頼んでも無いのにAIが働いて、よく見る記事やアプリの設定から本人の興味がありそうな記事を勝手に表示されます。
先日、某週刊誌Webサイトで掲載された「円よりドルのほうが安く航空券が買える!?ANA広報が語った“裏技”の真相」という記事がニュースアプリで勝手に表示されました。
軽く読んでみたところ、「ANAなのに英語表示サイトで米ドルで買うと安い」とかTwitterで拡散されて「うそでしょ〜」「裏ワザ見つけてしまった」ととんでもなく凄い事のような内容でしたので、これは私も利用せねば!
ということで、本当にとんでもなくお得なのか?ANAダイヤモンドサービスメンバー10年目の私が検証していきます。

今回の週刊誌の記事内容はこちら。

週刊誌の記事

まず、記事の内容の要点を切り取りするとこんな内容でした。

①本当にそんなことが可能なのか、本誌でも10月22日の羽田から沖縄(那覇)への片道航空券で検証してみた。

まず、ANAの公式サイトで居住地を東京、表示言語を日本語にして、22日午前8時30分羽田発の便のチケットを調べると、値段は48,310円(10月20日時点)。

女性自身WEB 投稿日2022/10/21 06:00「円よりドルのほうが安く航空券が買える!?ANA広報が語った“裏技”の真相」より

②次に、居住地をアメリカ・ニューヨーク、表示言語を英語にして、同じ便のチケットを調べると、その値段は238.40ドル。10月20日の為替1ドル149.93円で計算すると、35,743円となり、確かに居住地と表示言語を日本にして購入するより1万2千円ほど安い。

女性自身WEB 投稿日2022/10/21 06:00「円よりドルのほうが安く航空券が買える!?ANA広報が語った“裏技”の真相」より

ここだけ見ると、めっちゃ安いやん!という記事タイトル通りの内容となります。この記事にあった注意点も書いておきます。

ここで一点注意しておきたいのが、価格差が生じるのはチケット価格が外貨表示となった場合。居住地を日本ではなく海外(米国など)に設定した場合に適用されるようで、表示言語を日本語から英語にしただけでは生じない。

女性自身WEB 投稿日2022/10/21 06:00「円よりドルのほうが安く航空券が買える!?ANA広報が語った“裏技”の真相」より

切り抜きな感じですみません。

真実は・・・。

結論を言うと、比較の仕方がズレてます。だから安く見えます。
前述①はANA日本サイトで航空券検索して出てくる「フレックス運賃」です。分かり易く言うと正規運賃です。
前述②はANAアメリカサイトで航空券検索して出てくる「Super Value運賃」です。分かり易く言うと割引運賃です。
正規運賃 VS 割引運賃で比較しているだけなので、当然値段だけ見れば割引運賃の方が安いです。
ただ、それぞれのサイトを横に並べるとわかるのですが、日本サイトは左が高い運賃で右に行くほど安くなるのに対して、アメリカ含む海外サイトは左が安い運賃で右が正規運賃を表示しているので、それぞれのサイトの左だけ見ると確かにアメリカサイトの方が安く見えます。

左:ANA日本サイト。右ANAアメリカサイト。

ANAアメリカサイトや海外サイトで日本国内のみのフライトの予約を取る際にANA Discover JAPAN Fareというがあり、これが日本の運賃だとVALUEとかSUPER VALUEと呼ばれる運賃形態となってます。

「この割引は、海外のお客さまに日本を楽しく旅して頂くためのキャンペーン『ANA Discover JAPAN Fare』の運賃だからです。海外のお客さまに日本各地の魅力を知ってもらおうと、さまざまな運賃規則をもうけた上で、もともと少し安い価格設定にしています。

それでも、通常の国内線セール運賃のほうが、お得に航空券をお求め頂けたのですが、この急激な円安傾向により、このような運賃になっているのです」

なんとANAが23年10月28日まで設定しているキャンペーン制度の一貫だったというのだ。この『ANA Discover JAPAN Fare』は、ANAのWEBサイトのほか、日本国外のANA各支店、旅行代理店でご購入が可能。海外在住者向けの運賃だが、日本人・日本居住者でも利用することができる。

女性自身WEB 投稿日2022/10/21 06:00「円よりドルのほうが安く航空券が買える!?ANA広報が語った“裏技”の真相」より

といった感じで安いって記事に書いているのですが、この買い方は日本在住の人に取って本当に安いのでしょうか?
ANA Discover JAPAN Fareについてはこちらのサイトで説明されてます。

国内線で、よりお得に乗る方法は。

鉄道とは異なり、飛行機は正規運賃以外に割引運賃の種類が本当に多く、あまり飛行機乗らない人は勿論の事そこそこ飛行機乗る人も多くを把握していないと思いますし、正規運賃を知らない人すらおられる事でしょう。
今回は一般の旅行やビジネスで使用するだろう割引運賃の種類や長所などについて書いていきます。
※全て普通席の内容となります。ANAの内容になります。2022年11月時点での内容となります。

航空運賃の種類内容運賃発売日予約期限
FLEX正規運賃、変更可すごく高い(羽田伊丹3万超え)355日前9:30から搭乗当日まで
ビジネスきっぷANAカード所有専用同一路線2回分同時購入変更可FLEXより安い(新幹線意識)355日前9:30から搭乗当日まで
ANA VALUE 1事前購入割引FLEXより安い355日前9:30から搭乗前日まで
ANA VALUE 3事前購入割引VALUE 1より安い355日前9:30から搭乗3日前まで
ANA VALUE 7事前購入割引VALUE 3より安い355日前9:30から搭乗7日前まで
ANA VALUE TRANSIT乗り継ぎ割引安いのか?355日前9:30から搭乗当日まで
ANA VALUE TRANSIT 7乗り継ぎ割引事前購入TRANSITより安い355日前9:30から搭乗7日前まで
ANA VALUE TRANSIT 28乗り継ぎ割引事前購入TRANSIT 7より安い355日前9:30から搭乗28日前まで
ANA SUPER VALUE 21事前購入割引VALUE 7より安い355日前9:30から搭乗日21日前まで
ANA SUPER VALUE 28事前購入割引SUPER VALUE 21より安い355日前9:30から搭乗日28日前まで
ANA SUPER VALUE 45事前購入割引SUPER VALUE 28より安い355日前9:30から搭乗日45日前まで
ANA SUPER VALUE 55事前購入割引SUPER VALUE 45より安い355日前9:30から搭乗日55日前まで
ANA SUPER VALUE 75事前購入割引SUPER VALUE 55より安い355日前9:30から搭乗日75日前まで
ANA SUPER VALUE SALE期間限定のセール予約日に支払必要路線・時期・便次第では最安不定期特定期間
スマートU25(年齢制限)若者割引ANAマイレージクラブ会員限定当日購入では一番安い当日0:00から当日のみ
スマートシニア空割(年齢制限)高齢者割引ANAマイレージクラブ会員限定当日購入では一番安い当日0:00から当日のみ
株主優待割引運賃株主優待券必要変更可プレミアムクラス専用運賃有専用運賃でFLEXより安い355日前9:30から搭乗当日まで
包括旅行割引運賃ツアーツアーに準拠ツアーに準拠ツアーに準拠
ANA国内線運賃の種類。青文字:良い点、赤文字:注意点。

FLEX

英語で書かれてますが、要は正規運賃となります。
新幹線等と異なり、飛行機の正規運賃は本当に高額です。
この運賃で旅行や出張行く人、ほとんど見たこと無い位、利用されない運賃だと勝手に思ってます。
しかし、その名の通り自由にいつでも購入し搭乗できます。

積算マイル:基本区間マイル×100%
積算PP:基本区間マイル×100%×2+400

ビジネスきっぷ

ANAカード(クレジット機能付き)所有者限定の運賃です。
搭乗日により運賃が異なりますが、全ての日・全ての国内線便で利用が可能です。
同一路線を2回分を一括で購入が必須ですが、安い上に搭乗日や便変更可能です。
同一方向2回で購入出来ますし、復路の予定が未定ならオープンで購入も可能です。
また、東京↔︎大阪であれば東京は羽田・成田、大阪であれば伊丹・関西・神戸のそれぞれの空港を自由に選択出来ます。

東京大阪間は年中ほぼ一定運賃だが、それ以外は繁忙期は運賃が一気に高くなる傾向。

積算マイル:基本区間マイル×100%
積算PP:基本区間マイル×100%×2+400

ANA VALUE

ここからは一般的な事前予約となります。
発売開始日〜搭乗7日前・3日前・1日前までに購入する設定がされています。
ポイント:事前購入。いつでも販売、誰でも購入。Webサイト以外でも購入可能。

7とか3とかの数字は予約する日付です。支払いする日付では無いです。
日程・同日内の便の変更不可。

積算マイル:基本区間マイル×75%
積算PP:基本区間マイル×75%×2+400

ANA VALUE TRANSIT

特定区間を乗り継いで利用出来る割引運賃です。
例:HND⇒ ITM⇒OKAという形です。
発売開始日〜搭乗28日前・7日前・当日までに購入する設定がされています。
個人で自由に便設定が出来ませんが、いくつか選択肢がありそこから選ぶ形になります。
乗り継ぎ時間が大体40分〜1時間30分程度ですので、乗り継ぎ空港でお土産を買うくらいはできます。

28とか7とかの数字は予約する日付です。支払いする日付では無いです。
日程・同日内の便の変更不可。

積算マイル:基本区間マイル×75%
積算PP:基本区間マイル×75%×2+200

ANA SUPER VALUE

SUPERが付く運賃割引が大きいものは、かなり前から予約する必要があります。
前述のANA VALUEよりも出発日に遠い日で予約・購入する時の割引運賃です。
VALUEよりも割安でHND⇒OKAで最安10,000円を切る便もあります。
搭乗日355日前〜75日前・55日前・45日前・28日前・21日前に購入する設定がされています。
(更にそれぞれの〇〇日前の運賃の中でも空席予約数や混みそうな便等により細かく運賃が変わります。)

75とか55とかの数字は予約する日付です。支払いする日付では無いです。
日程・同日内の便の変更不可。

積算マイル:基本区間マイル×75%
積算PP:基本区間マイル×75%×2+0

ANA SUPER VALUE SALE

恐らく最も安く購入できる割引運賃となります。
タイムセールで不定期に販売されます。超絶安い運賃で販売されますが、搭乗期間と便と販売座席数が決まっています。
片道数千円レベルで購入可能。

Webでしか購入できません。日程・同日内の便の変更不可。

積算マイル:基本区間マイル×50%
積算PP:基本区間マイル×50%×2+0

スマートU25、スマートシニア空割

U25は12歳以上25歳以下の人、シニアは65歳以上の人が対象でANAマイレージクラブ会員であれば購入できます。
運賃はというと、U25ならHND⇒OKAで10月なら正規運賃48,310円に対して20,910円、シニアなら18,210円と半額以下で爆安です。
繁忙期ではHND⇒OKAなら3,000円程度運賃が高くなる等時期により運賃変わります。

当日しか購入出来ない為、便が満席の場合は購入できません。

積算マイル:基本区間マイル×50%
積算PP:基本区間マイル×50%×2+0

株主優待

ANAの株主になると貰える株主優待券を利用する事で安く航空券を買えます。
搭乗日により運賃が異なりますが、全ての日・全ての国内線便で利用が可能です。
優待券自体の期限が決まっていますが、安い上に搭乗日や便変更可能なので、使い勝手がとても良いです。
金言ショップでも売ってます。時期により値段が異なりますが安い時は1,000円ちょっとで売ってます。
また、プレミアムクラスでも同様の割引運賃がありますので、そちらを安く乗る事も可能です。

便の変更は可能だが、株主優待の有効期限に注意。

積算マイル:基本区間マイル×75%(普通席)
積算PP:基本区間マイル×75%×2+400(普通席)

個人包括旅行割引運賃、包括旅行DP割引運賃等

俗に言うツアーです。
ですので、航空会社の航空券予約サイトから購入は出来そうですが、ツアーなので航空券のみの購入は出来ません。
ホテルとセットになっている事が多く、旅行トータルで見ると最も安くなります。

契約内容がそもそも異なる。ツアー主催会社に確認必要。

積算マイル:基本区間マイル×50%
積算PP:基本区間マイル×50%×2+0

結論、どれが得なのか?

日系航空会社の海外サイトは安くないです。
ごく一部安い航空運賃がありますが日本在住の日本人は購入出来ませんし、週刊誌でも紹介してませんでした。
なので、日本国内を飛行機乗って旅行するなら、大人しく日本のウェブサイトから購入するのが良いです。
どんな状況なら、どんな航空運賃で買うのが良いか?下記になるかと思います。

(超激安) 旅に慣れて激安が良い、時間もたくさんある人⇒ANAとかのフルサービスキャリアではなくLCC、或いはツアー。
(激安)  LCCはちょっと、フルサービスキャリアが良い+予定が先な人⇒ANAだとSUPER VALUEかSUPER VALUE SALE。
(安+自由)25歳以下・65歳以上で自由に旅行したい人⇒U25やスマートシニア空割。
(自由)  出張・仕事関連で予定が読めない人⇒ビジネスきっぷ・株主優待。

これ以外に、PP貯めたい人は株主優待でプレミアムクラスとか、PP獲得単価の低い運賃の種類が選択肢になったりします。
飛行機乗る人の時間や時期だけでなく、乗る目的に寄っても購入する運賃の種類が大きく変わるのが飛行機の特徴です。

最後に。

今回はたまたま見かけた週刊誌の記事から検証してみましたが、鵜呑みにしたら損する内容でした。情報弱者は損します。
割引運賃は時期・座席残数・混雑しそうな便など複数の要因で運賃が決まるだけでなく、運賃がリアルタイムに変化します。
(なので、運賃検索中に一定時間経過すると一から検索し直しになります。)
週刊誌誌面では書き切れない程複雑で深く、飛行機をほとんど利用しない人だと、どれが良いのか?わからないようになってます。
今回はANAにしてますが、JALでもほぼ同じ傾向ですが来年から料金の見直しが入るようですが、基本的な考え方は大きく変わらないと思います。

また、面倒でも安さを狙うならLCCも良い手だと思います。
移動=旅行ではなく手段と割り切るのも1つの考えですので、安くて浮いた分旅先で美味しいものを食べたりも出来ます。
でも、荷物預け・座席指定などオプションを付けると思ったより安くならない事もあるので、こちらも良く調べた方が良いです。
LCCとフルサービスキャリアの中間にあるスカイマークなどのMCCも使い方によっては最善の選択になる事もあります。

旅行の計画を立てる時に色々と検索したり、調べたりするのも楽しみの一つだったりしますので、日程や料金などがマッチしたプランが作れた時はそれだけで満足度が上がり、出発前から旅行が楽しくなると思います。(勿論逆にイライラする場合も・・・)

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